「気をつけ」の号令に対して「休め」の号令があります。

 

大切な商談や初対面の人に会うときなどは体をピシっとする「気をつけ」の状態に…

逆に

気心知れた友人と話したり一人で黙々と仕事をしたりするときなどにはリラックスした姿勢で「休め」の状態になりますよね。

 

「気をつけ」の状態は意識的におこなうことですし、比較的簡単にできてしまいます。

 

ですが、日常で大半を占める「休め」の状態は、上手にできていない方がほとんどです。

 

緊張は作りやすいのに対して、リラックスはしにくいものなんですね。

 

「リラックスした姿勢で仕事ができたらいいな」と思っている方も多いでしょう。

 

今回はそれに関連する「呼吸」と「姿勢」について触れていきたいと思います。

 

痛みに影響してくる顎の位置と呼吸

首が痛い(つらい)という場合、原因として真っ先に挙がるのが「姿勢」です。

 

ですが、どう見ても悪い姿勢で作業をしているという職人さんでも「俺は首や肩が凝ったことなんてねぇ!」という方はいます。

 

その差は一体何だと思いますか?

 

それはズバリ、「顎の位置」と「呼吸」です。

 

顎の位置が悪いと呼吸にも影響を与えますし、首の痛みを深刻化する以外にも体にさまざまなストレスを掛けてしまいます。

 

呼吸に関連する筋肉と神経

呼吸をするときには、「横隔膜」という筋肉を使います。

呼吸に関わる横隔膜と横隔神経

 

この横隔膜を動かす神経が「横隔神経」です。

 

横隔神経の神経は第3頚椎〜第5頚椎から出て、横隔膜につながっています。

 

呼吸に関連する筋肉は横隔膜の他にも肋間筋や首の筋肉といったものがあり、これらの筋肉で肺が動き、「呼吸」ができるのです。

 

下図は吸ったときの横隔膜の動き

呼吸時の横隔膜

 

 

不良姿勢は神経の通りを悪くする

首の状態が悪い方というのは、

「顎を突き出し、首の後ろの筋肉が縮まった状態」

 

になりがちです。

 

この状態では首の骨から出ている横隔神経の通りも悪くなりますし、それによって横隔膜の働きが弱くなり、呼吸がしにくくなってしまいます。

 

これは実際に試してみるとよくわかります。

 

まず、顎を前に出した状態で自然呼吸をしてみてください。

 

吸うことはできますが、あまり上手に吐くことができないかと思います。

 

今度は、顎を引いた状態で自然呼吸をしてみてください。

 

先ほどより多く息を吸うことができるでしょうし、たくさん吐くこともできたかと思います。

 

横隔神経が出ている第3頸椎から第5頸椎は「頚椎ヘルニア」になりやすい部位でもありますので、そういった点も含めて「突き出し顎」を修正し、首への負担を減らしたいものです。

 

修正方法は後ほど触れていきます。

 

生きるために必要な「吸う」ことと「吐く」こと

生きていくためには体を動かす原動力である「エネルギー」が必要です。

 

人間(動物)は

 

「食べ物を摂り、細胞が栄養を燃やし、エネルギーを生み出し、体を動かす」

 

ことで生きているのですが、細胞が栄養を燃やす代謝には酸素が必要になります。

 

だからこそ、

 

体内に酸素を取り入れるために「吸う」

 

燃やした後の二酸化炭素を体内から送り出すために「吐く」

 

という行為をおこなっているのです。

 

体内に有害な二酸化炭素を「吐く」大切さ

常に吸った分だけ息を吐ければいいのですが、身体に余計な緊張があると息を吐くという行為が疎かになり、体内に「二酸化炭素」が残ってしまいます。

 

ご存知のように、二酸化炭素は体にとって有害なものです。

 

体外に排出しなければいけないのですが、呼吸が浅いと吐ききれずに二酸化炭素が肺に溜まった状態になってしまいます。

 

体内に「二酸化炭素」が蓄積されることによって、血液の循環が悪くなり、全身に栄養が行き届かないだけではなく、ガンなどの大病のリスクが高まります。

 

また、呼吸活動は

 

「息を吸う=身体は緊張状態」

 

「息を吐く=身体はリラックス状態」

 

という拮抗した状態を繰り返しています。

 

一般的にもよく「ストレスで病気になる」と言われていますが、ストレス過多は過度な緊張状態、つまり息の吐けない状態です。

 

こうしたこともあり、「吐く力がある」ということは病気やリラックスの観点から見てもとても重要で、必要なことなのです。

 

呼吸の浅い方は意識的に吐くようにしましょう。

 

吸うことに関しては意識しなくとも体が必要な分だけ酸素を取り入れてくれます。

 

 

リラックスした姿勢の作り方

PC作業などが長時間続くとどうしても姿勢が崩れやすくなります。

 

緊張させて背骨を真っ直ぐに保つことで首の負担は軽減されますが、緊張を作った体では呼吸に制限をかけてしまいます。

 

ここでは、背中の緊張を作らずに「呼吸をしやすい姿勢」を写真で説明していきたいと思います。

 

ちなみに、下の2枚の写真は背骨の状態を変えずに顎だけ引く動作で「顎の位置」だけ変えたものです。

 

顎が引けていない姿勢(突き出し顎)

顎が前に出ることで胴体が後ろにズレます。

 

そうすると全体のバランスを太ももで取ることになり、長時間この座り方をしていると太ももが太くなります。

 

また、この状態だと首の後ろ側を詰まらせてしまうので神経の通りが悪くなり呼吸もしにくくなります。

 

頚椎にも負担が掛かりヘルニアなどの症状を引き起こしやすくなります。

 

さらに、重心を腰で支えることになるので、腰も痛くなります。

 

顎が引けている姿勢

 

背筋を張らずに顎を引くことで背中に余計な緊張を作らずに済みます。

 

胴体を軽く前傾気味にすると、足裏で体を支える状態ができて地面に体を預けることができます。

 

背中は丸めてもOKですが、極度に背中が丸まってしまう方はお腹を立てる必要があります。

 

顎を引くことで首の後ろの詰まりは解消され、呼吸がしやすい状態になります。

 

また、背骨に沿ったベクトルが掛かるため、腰椎への負担も軽減されます。

 

 

上記の姿勢が難しい方は……

「背中の丸まりが強い」

「背中が反ってしまう」

「上記の姿勢がどうもしっくりこない」

 

といった場合、体にコリや歪みといった緊張があるのかもしれません。

 

まずは、その緊張を取るための施術をおこなっていきましょう。

 

当院では

「姿勢を整える」→「呼吸のしやすい体」→「緊張を作らない身体」

 

という観点で整体をおこない、リラックスした状態で日常を過ごせる体作りのお手伝いをさせていただいております。

 

生活の質を上げたい方は、お気軽にご相談ください。