体が歪む原因のひとつに「指の捻れ」が挙げられます。
指の捻れた状態で物を掴んだり握ったりすることが積み重なるとその「捻れ」が定着し、
捻じれのベクトルが筋膜を通じて体幹に入ります。
その歪みが原因で「肩こり」「腰痛」「膝痛」といった症状が出てくるというケースもあるのです。
本題に入る前に、まずは歪みのチェックをしてみましょう。
手を握ってみてください。
手を握るときに親指から握り込んでいませんか?
もし親指から握り込んでいるようであれば、歪みが起こっていると考えていいでしょう。
是非、今回ご紹介するエクササイズを実践してみてください。
そして、「どうしても親指から握り込んでしまう」という方は歪みが定着している可能性がありますので、施術による手の調整をおすすめします。
筋膜の歪み
指の捻れが原因で腰痛や肩こりになるという話の前に、全身を覆う「筋膜」について触れておきましょう。
体は「筋膜」という膜によって全身を覆われています。
そのため、ある部位に筋膜の緩みやこわばりが起こり歪みが強くなると、そのしわ寄せが他の部位に症状となって現れます。
「筋膜」の性質
筋膜はある一定の圧力が長時間掛かるとその圧力に応じた形に変化してしまうという可塑性を持っています。
粘土のようなものと考えればOKです。
指の捻れが体に与える影響
もちろん、指先にも筋膜があり、その筋膜は全身とつながっています。
指先に捻れがあり、その状態で体を酷使していると捻れは「波紋」のように全身に広がっていきます。
関節の捻れは基本的に交互に捻れていきますので、指先の一つ目の関節が内側に捩れがあると二つ目の関節は外側に捩れ、三つ目の関節は内側に捩れるという連動が続きます。
捩れの波紋は体の他の部位まで続き、そのベクトルが止まってしまった筋肉は「こわばり」を作り、固くなります。
そして、そのこわばりが長く続くと「首や肩のこり」「腰痛」「膝痛」などの症状を引き起こす場合があるのです。
指(手)と脳の関係
手の動きは脳にも影響を与えます。
脳を占める手の割合の図
人間は二足歩行をするようになり、手が自由に使えるようになって進化したと言われています。
手と脳を中心に使う現代の人間を表したのが「ペンフィールドのホムンクルス」と呼ばれる以下の図になります。
全身を管理する脳において、手の占める割合がとても大きくなっているのがわかります。
手に捻れや歪みがあると、脳はその状態を考慮して動かすために余計な容量を使います。
また、手に余計な容量を奪われると体の他の部位の感覚が低下してしまいます。
感覚が弱くなると動きも雑になり、体のバランスも崩れやすくなってしまうのです。
指&手の使い方と体操
基本的に5本の指を均等に丁寧に使うことが大切です。
物を握るときは
「1本1本が対象物に対して捻れた状態を作ることなく、正確に丁寧に握る」
ようにしましょう。
5本の指は
1.人差し指
2.親指
3.中指
4.小指
5.薬指
の順に感覚が発達しています。
このことを踏まえて、
「親指よりも小指側でしっかりと握る」
「中指を中心にして対象物を触れる」
ことを意識すると5本の指を均等に使えることができます。
捩じれ取り運動
手を使い過ぎたときには、上記の動きを意識しながら「グーパー運動」をゆっくり丁寧に味わいながらおこなっていきましょう。
手の感覚を味わったら、手を最大限に広げていきます。
関節の隙間を体の中心から外へひとつひとつ開いていき(青線)
指同士の間を広げていきます(赤線)
この2つの動きを同時におこなって、指の骨の関節の隙間を開いていきます。
左右の手で、片方ずつおこなっていきましょう。
姿勢は下の図の状態が望ましいです。
手のひらを正面に向け、できれば寝姿勢(仰向け)でおこないましょう。
そのほうが手の動きを認識しやすくなります。
マウスやスマホを長時間使用される方は、寝る前におこなうことを習慣にしてみてください。
姿勢良く過ごすことも大切ですが、指を丁寧に使ってあげることもとても大切です。
まずは1日の中で少しだけでもいいので、「丁寧に手を使う時間」を意識的に作ってあげてくださいね。
その時間が少しでも長くなれば体の歪みの原因を作らずに済みますし、少しずつですが脳も喜んで今まで以上の機能を発揮してくれるはずです。
当院では指捻れの調整をおこなっています
指の捻れが極度に進んでしまっていてスムーズに動かせない場合、前腕(肘から手首の間)の筋肉の緊張を解く必要があります。
前腕には指先を動かす際に使われる筋肉がついていますので、その部分の緊張を取らないと指をスムーズに動かすことができないのです。
当院では前腕から指先の施術もおこなっていますので、指の捻れが気になりスムーズに動かせないと感じる方はお気軽にご来院ください。