痛みを消そうとするほど、身体が緊張してしまう理由

「肩が痛いから、そこを強く揉んでほしい」 「この腰の痛みを、今すぐどうにかして消してほしい」
身体に不調を感じたとき、私たちはどうしても「今ある痛みをいかに消すか」という結果だけに意識を奪われがちです。そして、実際に強く揉んでもらったり、ピンポイントで痛みを抑え込むような施術を受けたりすると、その瞬間は「楽になった気がする」という安心感が得られます。
ですが、少し時間が経つと、また同じ場所が痛む、あるいは以前よりもコリが深くなっている……。そんな経験はありませんか?
実は、「痛みを消すこと」を最優先にしてしまうと、かえって身体の緊張が抜けにくくなるという構造があります。
痛みの出ている場所というのは、結果として「そこに負担がかかっている」というサインにすぎません。それなのに、その結果としての痛みだけを力づくで抑え込もうとすると、身体は「また攻撃される」「身を守らなければならない」と勘違いしてしまい、防御反応としてさらに筋肉や神経の緊張を高めてしまうのです。
これでは、いつまで経っても「痛みを消すための施術」という終わりのないループから抜け出すことができません。
本当に必要なのは、痛みを消すことではなく、「身体が自ら緊張をほどいて、元の自分に戻っていく環境をつくること」です。
当院の施術で、ポキポキ鳴らしたり強い圧をかけたりしないのはそのためです。 過敏に緊張している部分に対して、あえて緊張をつくらない優しい圧でアプローチしていくと、身体は「もう無理をして守らなくても大丈夫なんだ」と安心し、本来のしなやかな状態へと戻り始めます。
痛みという結果に囚われるのをやめ、ご自身の身体が本来持っているバランスを取り戻していくこと。 それこそが、根本から身体を整えていくということなのだと、日々の臨床を通じて強く感じています。
