「肘」は、肩から手へと力を伝える“中継点”です。
肩関節 → 肘 → 手首 という流れで、末端の「手」に力が伝わり、私たちは日常的に「手を使う」ことができます。
しかしこれはあくまで理想的な使い方であり、**実際には「手首 → 肘 → 肩甲骨」**という逆方向の使い方になっている人が非常に多いのが現状です。
その理由として、現代の生活では体全体を連動させて動く機会が減っていることが挙げられます。
スマートフォンやパソコンの操作、リモコンやボタンひとつで完結する動作が増えたことで、
「手先だけを動かせば、だいたいのことができてしまう」生活スタイルになっているのです。
その結果、本来中継点としての働きをするはずの肘に過剰な負荷やねじれが生じ、
やがて痛みや動きの悪さといった不調が表れます。
こんな症状が出ていたら要注意
• 肘を動かすと痛みが出る
• 曲げ伸ばしや力を入れると違和感がある
• 物を握ったり、掴むときに肘が痛む
これらの症状は、肩や手首のアンバランスな動きが肘に集中し、負担をかけているサインかもしれません。
特に、「上腕骨の骨膜」に圧力がかかることで、神経や血管が圧迫され、
それが動きの制限や痛みの原因になっているケースも少なくありません。
この骨膜の緊張を緩めてあげることで、症状の改善が期待できます。
※骨膜についての詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください:
肘の柔軟性はパフォーマンスにも影響する
肘が柔らかく保たれていると、力の伝達がスムーズになり、体の連動性も高まります。
たとえば、大谷翔平選手がインコースの球を見事にホームランにできるのも、肘の柔らかさがあるからこそとも言われています。
スポーツやダンスなど、体を使う動きすべてにおいて、肘の柔軟性はパフォーマンスに直結する重要な要素です。
現代人は肘が固まりやすい
スマートフォンやパソコン作業が多い現代では、肘が固まりやすくなっています。
痛みがある方はもちろん、そうでない方も日頃から肘の柔らかさを保つことが、
体の快適な動きと不調予防の鍵になります。